[K1603] SEIKO ロードマーベル36000ミント品 [販売済]
セイコーの意地と良心!
[販売済]
ゼンマイをその原動力とする所謂「機械式腕時計」
その、機械式時計時代の第1幕ともいえる時代の幕引きをセイコーはこのモデルに任せました。
初代「ロードマーベル」はセイコー初の高級機として昭和33年(1958年)にデビューしました。こちらを参照ください⇒こちら
そして、セイコーの1978年販売カタログに手巻機械式腕時計としては最後に載ったモデルがこの「ロードマーベル36000」(以後はLM36000と記します)。でした。
最後まで残し続けたこのLM36000
私は、このモデルにセイコー機械式時計の終焉(ひとまずの、ですが)を飾らせたことにセイコーの大きなプライドを感じるのです。「機械式の時代の幕引きはセイコーが務める!」的な…..
1978年(昭和53年)当時、腕時計の市場では既に「クオーツ」の認知・普及・廉価化が急速に進み、もはや腕時計の新製品といえば「クオーツ」の新作ばかりがリリースされた時代となっていました。
そこに「機械式」の生き残る「余地」はないものと当時は考えられており、実際市中の消費者にとっても、もはや機械式の時代は終わったという認識が共通の社会通念であったはずです。
では、その終焉をなぜこのLM36000に迎えさせたのか?
クオーツ腕時計を世界に先駆けて「市販品」として発表したのはセイコー自身でした。
そして、なぜクオーツの小型化・市販化に奔走したかといえばそれは単純に「精度」の問題でした。
「精度」は時計の「命題」そのものであったのです。
今や市中には電波時計が溢れかえり、その精度ゆえに時計にとっての「精度」は「命題」ではなくなったといえます。
しかし、あの時代までは違いました。最高精度の時計を作り・市販するということが時計メーカーの命題であり、それを実行できる会社が「世界一の時計メーカー」で有るはずだったのです。
素晴らしい創造力と努力で日本の各分野のメーカーは世界一を目指し、登り、そして到達してきたことは私たちが知っている通りです。セイコーにとっての最高精度の時計を作るということは機械式であれクオーツであれ関係のない話だったはずです。
そして1968年クオーツアストロンを世に出し70年代半ばには大いに廉価版を販売して世界の腕時計市場を席巻し始めました。
しかし、その「精度」の面を「機械式」でも究極に追い続けたのもセイコーだったのです。
御存じグランドセイコー。
ロービートの時代からその精度は世界基準でありました。
そして各種ハイビートモデルの投入により60年代後半にはセイコーは既に機械式の市販品では成し遂げるレベルに「その上」がなくなりました。
1967年に発売されたLM36000はそんなハイビート機のなかでは手巻き式で一番最初に開発されたモデルでした。
そのベースはグランドセイコーファーストの元にもなった12型のクラウンにほかなりません。
セイコーを戦後の日本時計メーカーのトップに押し上げたあの名モデル「クラウン」です。
そのクラウンを10振動化してGSやKSと同等の高精度を廉価に市場投入したモデルでした。
「ハイビート(高級機) for エブリワン」 を体現したモデルでした。
1969年には亀戸セイコーから45系ムーブの10振動手巻が出ますが、こちらはもとより「高級機」でしたので「ハイビート for エブリワン」にはなり得ません。
そういった販売と技術両面から見るとこのLM36000は機械式高精度モデルの「市販品」としての最進化型であったのです。
この機種はもし機械式の時代がその後もづっと続くならばこの一本があればもう他は要らないという製品でした。
しかし、先に述べたとおり。機械式市販モデルとしてはもうこの先はなくなってしまった……..(今考えれば自業自得?)
……..ならばその先は「クオーツを世に問う」のは自然のなりゆきだったのですね。
ですから、クオーツの時代にバトンをつなぐ配役はこの高精度LM36000に演じてもらうしかなかったのです。
機械式最後のセイコーの威信が詰め込まれた「完成型」だったのです。しかも初代高級機「ロードマーベル」銘の系譜です!
この完成型のモデルを最後に売らないわけにはいかなかったのですね!ここに「意地」を見るし、またこんな高精度の機械式手巻腕時計を当時の価格で15000円程度の”廉価”プライスで販売したことにも大いなる「良心」を見るのです。
そして、以後しばらくはクオーツ天下の時代でした。スイス時計が終焉するのでは?とさえ言われました…….。
が、、、、今や御存じのとおりセイコーが一度捨て去った「機械式」が80年代後半よりじわじわ復活してスイス時計業界がリバイバルしました。スイス時計業界の逆襲でしょうね。(機械式時計時代 第2幕の開始ですね!)
もしも、セイコーが1970年代を迎えても機械式の探究を続けていたなら一体今どうなっていたのでしょうか?
そんな風にこのLM36000を手にしていると本当に多くの思惑が駆け巡るのです……..
現品はLM36000の最終1978年型です。
ぜひ国産時計の歴史に(セイコーの歴史に)思いをはせながらお使いください!
(長文・乱文失礼いたしました!シャ)
製造年 |
---|
1978年 |
機械 |
手巻 |
精度コンディション |
プライス |
自然故障6ヶ月保証付き ¥SOLD |
素材 |
---|
金メッキ/ ステンレス |
ケース径(リューズ・ラグ含まず) |
34mm |
備考 |
2012年6月OH済み / ミント品 |
管理番号 |
K1603 |
精度コンディションについて
当店規定の精度レベルです。すぐのOHやメンテナンスをせずにご使用頂ける状態と思われます
現状で作動しています。但し、OHが必要になってくる時期と思われますので、日常的にご使用になられる場合はOH付がお薦めです。
1) 機械部分が長らくメンテナンスされていないデッドストック品、または
2) 作動はしますが、日差・テンプの振り等が安定しない状態の品になりますので、ご使用になられる場合は早めのOHをお薦め致します。要OHの状態です。日常使用には向きません。